リバランスしたいなら、24か月 または 7%

前回は、リバランスとリターンの関係において、過去のデータを使って計算期間を、いつからいつまでにするかによって、結果が変わってしまうということを述べた。
図7は、計算期間の異なった、放置とリバランスのリターンを比較したものだ。図8は、図7をぐっと凝縮させて1行で表現するため、平均や勝敗で表示した。

次に、リバランスを行うのは、どのタイミングで行うのがいいのかという議論がある。定期的に行うのがいいか、資産割合が一定以上変化した場合に行うのがいいか、諸説あるようだ。また、定期的にであれば、どのくらいの期間がいいか。割合であれば何%がいいのか。何か傾向があるのか、シミュレーションソフトを使って計算してみた。

図9がその計算結果だ。左側に計算の設定値。右側に結果を表示した。「5%」とあるのは、足し算引き算のことで、当初資産が25%であったときに、いずれかの資産が30%を超えるか20%を下回った時にリバランスする。
太字で強調したが、定期的では24ヶ月。割合では7%変動した時の勝率が高いことがわかる。

前回のブログでは、同じ資産割合で12ヶ月ごとのリバランスの場合、48勝42敗と書いた。24ヶ月ごとのリバランスにすると、57勝33敗となるので、12ヶ月ごとよりも、勝率は高い。
しかしながら、24か月にしたとしても、25年間の計算期間では平均がマイナスになってしまう。気になるところだ。

リバランスと放置 48勝42敗でリバランスの勝ち 

リバランスとリターンの関係についてシミュレーションソフトを作成して、考察してみた。

投資信託で資産をいくつかに分けて運用していると、資産の割合が当初の設定からずれてくる。それを元の割合にもどすことを、「リバランス」という。経済状況によって、資産割合を変更することをリバランスということもあるようだ。

以下の条件でリバランスと放置とで比較してみる。

  • 資産割合 日本債券25% 外国債券25% 日本株式25% 外国株式25%
  • 1990年1月から2016年12月までの27年間
  • 12か月に1度のリバランス
  • 当初資産 100 積立 なし

図1は、1990年1月の状態。図2はリバランスをせずに放置し、2016年12月の状態。
世界株式の上昇が顕著なことがわかる。次に、資産の変動の時間経過を見てみる。


図3は、リバランスなし放置の場合の割合の変化を示している。
図4は12か月に一度リバランスした場合。


図5は、4つの個々の資産と、資産分散のリバランスと放置した場合の変動を示している。y軸中央付近の黒の太線が放置。紫の太線がリバランス。放置がリバランスを上回っている。

他の条件は同じで、計算期間だけを変えてみた。

  • 1997年1月から2016年12月までの20年間

図6は、上記期間に変更したもの。リバランスが放置を上回っている。このよに、計算期間によって結果は変わってくる。さて、リバランスはリターンに対して有効なのか。

期間によって、計算結果が違うのであれば、いろいろな期間の計算をやってみればよい。と、いうことでいろいろな計算をやってみた。図7

  • 1985年1月から、5年後、10年後、15年後、20年後、25年後
  • 各年後の左から、放置、リバランス、差
  • 一つ下の行は、1986年1月から というようにずらしていく
  • 一番下の数値は縦の平均

5年後、10年後、15年後の平均はプラスで、20年後と25年後はマイナスになる。

図8で、プラスになるかマイナスになるかの勝敗をつけてみた。
48勝42敗でリバランスの勝。

これだけで、リバランスがリターンに対して有効だ。とは、言えない。