DCSIMでは、最初に運用商品の過去の実績を企業ごとに、すべて取り込んでいる。月末の基準価格である。折れ線グラフで表示することは可能だが、商品比較には向かないので、リスクリターン(横軸:標準偏差、縦軸:実績利回)のグラフにそれぞれの商品の実績をプロットしてみた。今回使用した商品データは、東京都内に本社のあるN社の実際のデータである。グラフの期間が2013年3月以降になっているが、最近追加した新商品のデータがそこからしかなく、比較するためにこの期間を選んだ。
まず、左下のグラフをごらんいただきたい。ローリスクローリターンから、ハイリスクハイリターンまで、比較的きれいにプロットされている。おおまかに言って、グラフの左下が債券やバランス型、右上が日本株や外国株となっている。今回はグラフの左下に注目してもらいたい。
次に、右下のグラフでは、グループを2つにわかてみた。同じような標準偏差(横軸)なのに、リターンが高いグループと、低いグループがある。上はバランス型(4つのうち上から2番目は外国債券)、下の3つ(紫色)は新商品。・・・・がんばれ新商品。
バランス型と新商品は、運用方針も異なる。バランス型は、資産配分をあらかじめ決めておいて、それぞれの資産はベンチマークを目指している。新商品は、経済環境を見ながら資産配分を変えてリスク(標準偏差)を一定以下に抑える。目論見書をみるとそのようなことが書いてある。簡単に言うと、前者はほったらかし、後者は一手間、二手間余計に手間をかけている。どっちが良いかはあくまでも選択する人の好みである。
運用商品を、一定期間だけで評価するのは、不公平である。たまたま、その期間にがんばれなかっただけかもしれない。ということで、下の図で評価期間を変えてみた。結果はご覧の通り。やっぱり・・・がんばれ新商品。
ちなみに、DCSIMでは、評価の開始月、終了月を変更するのは、ボタンをクリックするだけで、簡単にできる。クリックしてから表示まで1.3秒くらいだ。(ひと月前のボタンを連続10回クリックしたら、13秒で表示した)
「どうして、わざわざ手間をかけて、新商品追加してしまったんでしょうね。」とは、私の感想だが、どうも商品比較をする簡単なツールを運営管理機関は用意していないらしい。のデータはファイルで供給してくれるけど。(←それはそれで、とってもありがたい。ご協力ありがとうございます) 運営管理機関も、現状をしっかりと把握できていないのではないだろうか。
DCSIMは、確定拠出年金加入者が、商品選択をする際の便利なツールとして開発販売しているが、「確定拠出年金の企業担当者が、商品を増やしたり減らしたりする際の有効なツールとして使えますよ」 とは、N社担当者のお言葉でした。とてもうれしかったです。